会社説明会の最適な時間はいつ・どのくらい?所要時間・開催時間帯・配分のポイントを徹底解説
説明会を行うほど、「何分で設定すればいいのか」「この時間帯で本当に合っているのか」という疑問が積み重なっていくものです。時間と労力をかけて開催しているのに、次の選考への移行率がなかなか安定せず、悩みを抱えている採用担当者は多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、最適な所要時間は開催形式によって異なります。対面は90〜120分、オンライン(ライブ配信)は60〜90分、録画配信は60分未満が目安です。また、最適な開催時間帯については、他社とバッティングしやすい「平日13〜15時」だけにならないよう、午前中や14時台に分散して設定するのが有効です。
ただし、時間の長さだけを調整しても問題は解決しません。開催タイミングを誤れば参加できない学生が2割以上発生し、時間配分を誤れば参加した学生の志望度にも影響します。本記事では、最新の調査データをもとに「採用担当者が陥りやすい落とし穴」と「学生の離脱を防いで説明会の質を高めるための時間設計」を解説します。
目次
会社説明会の最適な所要時間は何分か?
会社説明会の最適な時間は、開催形式によって明確に異なります。現代の就職活動において、学生の約7割は「タイムパフォーマンス(タイパ:費やした時間に対する満足度や効用)」を強く意識しています。

出典:株式会社学情「タイムパフォーマンスについて調査」
学生にとって時間は「より多くの企業を調べるための貴重なリソース」であり、非効率な時間の奪われ方には極めて敏感です。この前提を理解した上で、形式別の最適解を見ていきましょう。
対面説明会の場合(目安:60〜120分)

出典:株式会社キャリタス「就職活動調査(4月1日時点)」(2025年卒・2026年卒対象)
キャリタス就活 学生モニター調査の結果、対面形式の会社説明会は、一般的に60分〜120分が適切とされています 。物理的な移動時間や交通費というコストをかけて参加しているため、求職者の立場では長時間の情報収集を許容する傾向にあります。
企業概要・事業内容から、社員との座談会・質疑応答まで含めると、60分では少々タイトになることが一般的です。人間が高い集中力を維持できる限界値(60〜90分)に合わせ、休憩や参加型要素を挟むことで最大120分までは関心を維持することが可能です 。
オンライン説明会の場合(目安:60〜90分)
オンライン形式では、対面よりも集中力が劇的に続きにくいことが特徴です。スタンフォード大学のJeremy Bailenson教授らによる「Zoom疲労(ビデオ会議特有の心理的・身体的疲弊)」に関する研究では、会議の時間が「44分未満」であれば疲労度が有意に低いことが実証されています
実際のデータを見ても、ライブ配信では約9割の学生が「1時間30分未満(うち46.9%は1時間未満)」を希望しています 。画面越しのオンラインであれば、基本を60分とし、座談会を含めても最大90分にとどめるべきといえるでしょう 。
オンデマンド配信(録画)の場合(目安:60分未満)
オンデマンド配信は、双方向のコミュニケーションが発生しない分、学生の「タイパ志向」が最も顕著に発揮されるフォーマットです 。キャリタス就活のモニター調査によれば、オンデマンド配信を視聴した学生の約7割(計70.9%)が「1時間未満」の所要時間を適切と考えています 。ライブ配信よりもさらに短い時間での情報凝縮が求められており、ダラダラとした長尺の動画は、それだけで離脱のリスクを急増させます 。
また、録画形式の場合、学生のタイパ志向が最も顕著に表れます。損害保険ジャパン株式会社の調査によれば、Z世代の約70%が動画を「倍速視聴」しており、その再生速度の平均は全世代で最速の「1.5倍速」に達しています 。等倍速でじっくり見られることを前提とせず、内容を「職種編」「福利厚生編」などに細かくチャプター分けし、60分未満(理想はさらに短く)でモジュール型(必要な部分だけを選べる形式)の構成にすることが求められます。
会社説明会の時間が長すぎる・短すぎるデメリットとは?
説明会の時間が不適切である最大のデメリットは、学生のエンゲージメントを著しく低下させることです。
長すぎると「消化不良」と「Zoom疲労」を起こす

Screenshot
出典:株式会社キャリタス「就職活動調査(4月1日時点)」(2025年卒・2026年卒対象)
「充実した説明会にしたい」という企業の思いから、情報を詰め込みすぎてしまう担当者は少なくありません。しかし、キャリタスの調査によれば、学生が参加したセミナーで「不快に思ったこと」の第2位は「所要時間が長すぎる(29.7%)」です 。 伝える量を増やすほど、学生の処理能力は限界を迎えます。
さらに、情報量が多すぎると「その場で理解しきれない」という問題も発生します。MIL株式会社の調査では、説明会の内容を「後で振り返りたい」と感じた学生が37.7%にのぼり、その理由の第1位は「情報量が多く、その場で全てを理解・整理できなかった(55.9%)」でした。

出典:MIL株式会社「会社説明会に関するZ世代400名調査レポート」
コンテンツを短くシンプルにまとめた上で、補足資料や録画アーカイブへの導線を用意することが、学生ファーストな説明会づくりの鍵となるでしょう。
短すぎると「伝わらない」まま終わる
一方、短くしすぎると企業の魅力や事業内容、働くイメージを十分に伝えられません。「手短に終わったが、結局この会社で何をするのかわからなかった」という印象を残せば、その後の選考参加率の低下につながります。合同企業説明会のような20〜30分の枠では、無駄をそぎ落とした設計が必須です。
会社説明会の「時間配分」。どう使うべきか?
所要時間の目安がわかったとしても、「その時間をどのように使うか」を設計しなければ、説明会の質は上がりません。ここでは、志望度を高めるコンテンツの優先順位を解説します。
「会社の説明」より「人のリアル」に時間を割く
まず、時間配分を設計する前に、企業側と学生側の「ズレ」を把握しておく必要があります。
MIL株式会社のZ世代400名調査の中で「会社説明会で得たい情報・期待する内容」を学生に聞いたところ、上位には「社風・職場の雰囲気紹介(35.0%)」「先輩社員によるリアルな働き方・経験談(31.8%)」がランクインしており、募集要項(40.9%)・各職種の業務内容(34.0%)と並ぶ水準で支持されていました。

出典:MIL株式会社「会社説明会に関するZ世代400名調査レポート」
一方で「説明会に無くてもよかったと思う内容」を同じく学生に尋ねると、特定コンテンツの中で最も回答が集まったのが「役員・経営層からの挨拶やビジョン(17.1%)」でした。企業側が「大切なメッセージ」として時間を割きがちな役員挨拶が、学生からは最も「不要」と判断されているという、鮮明なギャップが浮かび上がります。

出典:MIL株式会社「会社説明会に関するZ世代400名調査レポート」
時間配分の原則:役員挨拶・抽象的なビジョン説明の時間を圧縮し、その分を「社員のリアルな声」と「条件情報の具体的な説明」に充てる。
説明会を開催するのに最適な時間帯はいつ?
「激戦区」平日13〜15時の実態
会社説明会を開催する最適なタイミングは、ターゲットとする学生の属性によって異なります。競合が集中する平日13〜15時に集中することを避け、午前中や14時台に分散設定することが重要です。
多くの採用担当者が午後一番に設定していますが、ここに大きな落とし穴があります。
実際、MIL株式会社が26卒採用に携わる人事採用担当者約300社を対象に行った『説明会白書』の調査では、平日の会社説明会開催時間帯として最も多く選ばれたのが「13:00〜14:59」で、実に66.3%の企業がこの時間帯に集中していることが明らかになっています 。

出典:MIL株式会社「【26卒新卒採用】約300社の人事採用担当者の声が分かる『説明会白書』」
休日においても同様に「13:00〜14:59(56.3%)」が最多となっており、曜日を問わず”午後一番”に企業が殺到している実態が浮き彫りになりました。一方で、学生側のデータを見てみるとこの「激戦区」に説明会を設定することの深刻さをを明確に示しています。なんと、志望企業の説明会に「参加できなかった経験がある」と答えた学生が22.8%にのぼっています。つまり、2割以上の学生が、志望企業の説明会に参加する機会そのものを失っているのです。

出典:MIL株式会社「会社説明会に関するZ世代400名調査レポート」
<参加できなかった理由の上位>
- 他社の説明会・面接と日程が重なった 48.9%
- 学校の授業・課題・行事と重なった 34.8%
- 会場が遠く、交通費・移動時間の負担が大きかった 23.9%
- アルバイトのシフトや私用と重なった 18.5%%
最大の離脱要因である「他社との日程重複(48.9%)」は、多くの企業が横並びで同じ時間帯に集中することが主因です。自社の説明会がどれだけ魅力的なコンテンツであっても、そもそも参加されなければ意味がありません。また、「交通費・移動時間の負担(23.9%)」が3位に入っていることも注目すべき点です。この層に対してはオンライン形式の提供が有効な解決策となります。
学生が最も参加しやすい時間帯:午前中または14時台
脳の覚醒度が高い「午前(10:00〜12:00)」は集中力を発揮しやすく、対面の場合は移動の負担を考慮して10時以降の開始が現実的です。午後は昼食直後の眠気が出やすい12〜13時台を避け、「14:00〜16:00」が最も参加率が高い時間帯とされています。
オンラインに限っては、授業や日中の活動を終えた「夜間(18:00〜20:00)」も学生の約40%が参加しやすいと回答しており、他社とのバッティングも少なく有効な選択肢です。

出典:株式会社マイナビ「個別企業セミナーの開催に関する調査」(2026年卒対象)
対面かオンラインか?形式選びで志望度は変わるのか
ここまで会社説明会の時間について述べてきましたが、学生の参加率や理解度を高めるには、最適な時間帯・所要時間と合わせて「どの形式で開催すべきか」という根本的な問いに向き合う必要があります。
MIL株式会社の調査によれば、学生が「どちらの形式を望むか」という問いに対し、会社説明会においてはオンライン形式を希望する割合が72.0%と圧倒的多数を占めています。情報収集の効率を重視する現代の学生にとって、移動コストのないオンライン形式は合理的な選択です。

出典:MIL株式会社「会社説明会に関するZ世代400名調査レポート」
一方で「志望度が上がった説明会の形式」を問うと、オンラインが32.0%・対面が26.6%と、その差はわずか5.4ポイントにとどまります。さらに「実際に入社した会社の説明会形式」は、オンライン57.6%・対面42.4%と、ほぼ拮抗した結果となっています。

出典:MIL株式会社「会社説明会に関するZ世代400名調査レポート」
「オンラインか対面か」という形式そのものが、志望度向上や入社決定を左右するわけではない。
この事実は採用担当者にとって、非常に重要な示唆を含んでいます。形式にこだわるよりも、どの形式であっても「心を揺さぶるコンテンツと体験」を設計できるかどうかが、本質的な勝負どころなのです。
24時間365日説明会を自動化する選択肢
ここまで、開催時間帯の選び方や競合とのバッティングを避ける方法を見てきましたが、実はもっとシンプルな解決策があります。「開催時間をどこに設定するか」を気にしなくて済む状態、つまり、説明会のオンデマンド化です。
その必要性を示すのが次のデータです。MIL株式会社の調査によれば、24時間365日いつでも視聴できるオンデマンド説明会を導入した際、学生の視聴時間の53%が人事担当者の採用業務時間外(夜間・早朝・週末)に集中したという結果が出ています。

出典:MIL株式会社「採用説明会自動化の実態調査」
学生は、学業・アルバイト・他社選考で日中も夜も忙しく動いています。「この日のこの時間に来てください」という従来型の設計では、どこに時間帯を設定しても、参加できない学生が必ず一定数発生します。
対して「必要な情報をいつでも・どこでも・好きなタイミングで見られる」状態を用意することは、相手のスケジュールに合わせた、もっとも学生ファーストな設計といえるでしょう。
オンデマンド化にはもう一つの価値があります。動画コンテンツを一本作り込んでしまえば、社内で最も説明が上手な担当者の言葉、最も魅力的に自社を語れる社員のリアルな声を、毎回の説明会に登壇させるのと同じ効果を繰り返し届けられます。担当者によるばらつきをなくし、品質を一定水準に保ちながら、開催数を増やせる点は、多くの説明会を回す採用担当者にとって無視できないメリットです。
「学生の時間に合わせた設計」と「人事工数の削減」は、一見トレードオフに見えて、オンデマンド化によって同時に実現できます。
まとめ:時間設定より「何のための時間か」を設計する
本記事の要点を整理します。
- 【いつ開催するか】競合が集中する平日13〜15時だけではなく、午前中・14時台、またはオンラインであれば夜間帯も視野に入れる。
- 【最適な所要時間】形式によって明確に異なる。対面60〜120分、オンライン(ライブ)60〜90分、録画60分未満が目安。オンデマンドはチャプター分割で必要部分だけ見られる構成に。
- 【何を伝えるか】役員挨拶や抽象的なビジョン説明の時間を圧縮し、「募集要項などの条件情報」と「社員のリアルな声・職場の雰囲気」に時間を充てる。
説明会の「時間の長さ」を議論する際に、学生の認知負荷に寄り添い、真の相互理解を深める体制が整っているかどうかを確認することが重要です。まずは、現在実施している説明会のプログラム内容を棚卸しし、学生が求める「リアルな情報」に十分な時間が割けているかを見直すことから始めてみることをおすすめします。
2019年にMIL株式会社に参画。インタラクティブ動画プラットフォーム「MIL」のビジネスサイドの各チームをマネジメントし、事業成長を牽引。長期化・早期化が同時に進む新卒採用の構造的課題を解決するため、「インタラクティブ体験(IX)」を提唱。HR領域に特化した「インタラクティブ採用」の推進責任者を務める。