オープン・カンパニーとは?インターンとの違いや、人事が知っておきたい注意点・企画例・成功のポイントまで解説

近年耳にする機会が増えてきた「オープン・カンパニー」。
これまでの「インターン」との違いが分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、「オープン・カンパニー」の定義から、人事担当者として知っておきたい注意点・企画例・成功のポイントまでを解説します。

⏱️30秒でわかる結論

オープン・カンパニーとは、就業体験を伴わない情報提供・PR型の短期プログラムです。
従来「1dayインターンシップ」と呼ばれていたものもオープン・カンパニーに相当します。

令和4年の「三省合意」を経て、25卒学生向けに、「インターンシップとは就業体験を必ず伴うもの」として定義される過程で、情報提供程度に留まる短期のプログラムは「インターン」ではなく「オープン・カンパニー」もしくは「キャリア教育」として明確に区別されるようになりました。
また、原則として、オープン・カンパニーで取得した学生情報は広報・選考活動に使用しないことになっている点は注意が必要です。

全学年対象であるからこそ、学業やアルバイトで多忙な時期の学生でも気軽に参加できるような仕掛け(オンラインでの開催や動画を用いた開催)が重要になります。

これまで「1dayインターンシップ」などと呼ばれていたものは「オープン・カンパニー」になりました

オープン・カンパニーとは、学生のキャリア形成支援を目的として、企業や業界に関する情報を学生に提供するプログラムを指します。
就業体験を伴わない、数時間〜1日程度の短期のプログラムであることが特徴です。
代表的なケースとして、企業や大学キャリアセンター等が主催するイベント・説明会が想定されています。

以前は、就業体験を含まない短時間の会社説明会型イベントも「1dayインターンシップ」などと呼ばれることがあり、名称と実施内容の関係が曖昧でした。
そこで、2022年6月の文部科学省・厚生労働省・経済産業省の三省合意改正により、「インターンシップ」の定義を再整理する目的で、学生のキャリア形成支援活動はタイプ1〜タイプ4の4つに類型化されたのです。

したがってオープン・カンパニーとは、名ばかりのインターンシップをなくすための再整理の過程で生まれた概念であると言えます。

これまで 2023年度(25卒向けプログラム)以降
インターンに明確な区分はなく、名称と実際の内容にばらつきがあった。
就業体験を伴わないプログラムもインターンと呼ばれることがあった。
目的や就業体験の有無に応じてタイプ1〜4に分類。
インターンとは、就業体験をはじめとする一定の要件を満たすもののみに再整理された。
キャリア形成支援と採用活動の境界があいまいだった。 インターンを含むキャリア形成支援活動はいずれも採用活動ではなく、学生は改めて採用選考へのエントリーが必要であるとされた。
インターンで取得した学生情報は原則として採用活動に使用できないものとされていた。 一定の基準を満たす「インターンシップ」についてのみ、広報活動以降に使用可能になった。

具体的な4類型は以下の通りです。
2025年3月卒業・修了予定者が2023年度に参加するプログラムから、この整理が適用されています。

類型 名称 対象 実施期間 就業体験 学生情報の採用利用
タイプ1 オープン・カンパニー 全学年 数時間〜数日程度(プログラムによる) 任意 不可
タイプ2 キャリア教育 全学年 数時間〜数日程度(プログラムによる) 任意 不可
タイプ3 汎用的能力・専門活用型インターンシップ 大学3年生もしくは修士1年生以上 汎用的能力活用型:5日間以上
専門能力活用型:2週間以上
必須 採用選考活動の開始時期以降に限り可能
タイプ4 高度専門型インターンシップ 大学院生(修士課程・博士課程) 2ヶ月以上 必須 採用選考活動の開始時期以降に限り可能

「インターンシップ」を名乗るには、日数の要件に加えて、「実施期間の半分を超える日数を、職場での就業体験に充てること」や「職場の社員が学生を指導し、終了後にフィードバックを行うこと」などいくつかの要件を満たす必要があります(出典:厚生労働省「令和5年度から大学生等のインターンシップの取扱いが変わります」)。

※キャリア教育とは
具体的には、フィールドワークやグループワークなどを通して、職業観を養成したり、ビジネスマナーを身に付けたりするようなプログラムを指します。

オープン・カンパニーを実施するメリット

オープン・カンパニーの主なメリットは、次の3つに整理できます。

1.企業側・学生側の双方にとって最も気軽に実施・参加できる
2.数多くの学生に早期から認知してもらえる・接点が持てる
3.企業理解の促進や志望度の向上が期待できる

企業側・学生側の双方にとって最も気軽に実施・参加できる

先述の通り、「インターン」を開催するにはいくつかの要件を満たす必要があります。
汎用型インターンシップでも最低5日以上の開催が必要となるため、受け入れ態勢もしっかりと整えなければいけません。

オープン・カンパニーであれば、数時間のプログラムから開催できるため気軽に開催できるのが特徴です。
実際にオープン・カンパニーを実施する企業も増えています。オープン・カンパニーを実施した(する予定の)企業の割合は26年卒では7割(69.9%)に上り、前年の49.0%を大きく上回っています。

出典:マイナビ「2025年度(2026年卒版)新卒採用・就職戦線総括」

学生にとっても、オープン・カンパニーは拘束時間が短いため気軽に参加しやすいプログラムです。オープン・カンパニーに参加したことのある学生の割合も、26年卒は84.9%に上り、25年卒の62.1%から大きく増えています。

出典:マイナビ「2025年度(2026年卒版)新卒採用・就職戦線総括」

企業理解や志望度の向上が期待できる

気軽に開催・参加できるプログラムだからといって、決してインパクトが小さい施策であるというわけではありません。
オープン・カンパニーに参加した学生へのアンケートでは、参加学生の67.5%が「志望度が上がった」と回答しています

出典:マイナビ「2025年度(2026年卒版)新卒採用・就職戦線総括」

数多くの学生に早期から認知してもらえる・接点が持てる

オープン・カンパニーでは対象学年にも制限がなく全学年を対象に開催できます。
特に昨今では「厳選エントリー」と言われるように、3月時点での学生のエントリー数平均も減少傾向に。22卒では3月までのエントリー社数は平均24社だったのに対し、26卒は13.7社にまで大きく減少しています(出典:マイナビ「2025年度(2026年卒版)新卒採用・就職戦線総括」)。

広報解禁よりも前に早期に学生の「選択肢」に入っておく重要性が増すにつれて、採用活動におけるオープン・カンパニーも同じように重要になっていくと言えるでしょう。
しかしながら、これらメリットだけでなく注意点も存在しています。

オープン・カンパニー実施時の注意点と成功のポイント

オープン・カンパニーで取得した学生情報は採用活動に使用できない

オープン・カンパニーで最も注意すべき点は、取得した学生情報を採用活動に活用できないことです(出典:産学協議会リーフレット「産学で変えるこれからのインターンシップ」2022年8月作成・11月改訂)。
インターンシップの場合は、一定の条件を満たせば、3月の広報解禁以後は採用広報に、6月の選考解禁以後は選考に使用して良いとされています。一方で、オープン・カンパニーとキャリア教育については、いずれも原則使用できません。

1回の接触機会を大切にし、継続的な情報発信を行う

早期に学生と接点が持てる点がメリットである一方、今度は学生の熱量の維持が課題となります。

オープン・カンパニー参加者へのお礼やアンケートへの協力依頼なども貴重な接触の1つです。
学生目線で良い体験になっているかをチェックするとともに、フィードバックをもとに改善サイクルを回していきましょう。

また先述の通り、採用活動に直結する案内や採用広報にあたる内容を送ることはできません。
そのため、SNSなどを活用して最新の企業情報を発信できる場をあらかじめ整えておくことが大切です。もし学生が能動的に情報を手に入れたいと思った際に、どこに行けば情報が手に入るのか分かりやすくしておきましょう。

学生が学業と両立できるよう配慮する


オープン・カンパニーは全学年が対象で年間を通して実施できる代わりに、「時間帯やオンラインの活用など学業両立に配慮」するように求められています。
特に日中の早い時間帯は大学の講義と重なってしまうため、平日の夕方以降や土日、長期休暇期間等に設定すると良いでしょう。オンライン開催であれば前後の移動時間を考慮に入れる必要がなくなるため、学生の参加ハードルも下げることができます。

アルバイトをしている学生であれば、一般に毎月中旬ごろにシフトの希望を提出し、月末までに翌月のシフトを決定する流れとなるため、約1ヶ月前から予約できるようにしておくことで、学生が計画を立てやすくなります。

時間に縛られない動画の活用もおすすめ

数時間程度のプログラムから開催できるのは手軽な反面、説明に時間をかけ過ぎてしまうと、参加学生とのコミュニケーションが手薄になってしまうことも。

そこで基本的な会社説明は動画に任せるという選択肢も検討してみましょう。
開催日までの間に動画を配布し、いつでも好きな時間に見られるようにすることで、当日の貴重な時間を学生との対話やコミュニケーションを中心に設計できます。

さらに、プログラム全てを動画で開催する方法も。SocioFuture株式会社は、会社説明会を全てインタラクティブ動画化して説明会の運営工数を削減。浮いた人事担当者の工数を座談会中心のイベント実施に切り替えることでその後の採用成果を向上させました。同様の方法を採ることで、オープン・カンパニーの動画化が実現できます。

オープン・カンパニーの企画・プログラム例

オープン・カンパニーは特に実施要件が設けられていないため、内容は柔軟に設計できます。会社概要を説明するだけでなく、業界への理解を深めたり、社員のリアルな声を届けたりすることで、学生が社会に出て働くイメージを持てるようなプログラムにすることが重要です。
ここでは、代表的な企画・プログラム例を紹介します。

1. 業界・会社・事業内容の説明

まず取り入れやすいのが、業界の構造や動向、自社の立ち位置、事業内容を順番に伝えるプログラムです。
自社の説明だけでなく、「その業界は社会でどのような役割を担っているのか」「競合企業との違いは何か」まで取り上げると、まだ業界を絞り切れていない低学年の学生にも参加するメリットが生まれます。
特に知名度が高くない業界やBtoB企業では、業界研究を入口にすることで学生の関心を広げやすくなります。

2. 現場社員による仕事・職種紹介

仕事内容を具体的に伝えるには、採用担当者だけでなく、実際に働く現場社員に登壇してもらう方法が有効です。
担当業務の説明に加えて、1日のスケジュール、印象に残っている仕事、仕事のやりがいや難しさ、入社前後のギャップなどを話してもらうと、採用サイトの職種紹介だけでは伝わりにくい「働くリアル」を届けられます。
複数の職種がある企業では、一度にすべてを紹介するのではなく、「営業職編」「技術職編」などテーマを分けて開催する方法もあります。学生が自分の関心に合った回を選べるほか、1回あたりの情報量を抑えられる点もメリットです。

3. 社員座談会・パネルディスカッション

社員座談会は、社風や職場の雰囲気を伝えやすいプログラムです。説明を聞くだけでは分からない社員同士の関係性や話し方も、学生にとって企業を理解する材料になります。
ただし、「自由に質問してください」と呼びかけるだけでは、学生から質問が出ないこともあります。次のように、あらかじめテーマを設けると進行しやすくなります。

  • 若手社員が感じた入社前後のギャップ
  • 1年目に苦労したこと
  • 仕事のやりがいと大変さ
  • 就職活動中に重視していたこと
  • 配属や異動、キャリアの考え方
  • 社内のコミュニケーションや働き方

匿名で質問できるフォームを用意したり、事前アンケートで質問を集めたりするのも有効です。

4. 職場・オフィス見学

職場やオフィスの見学は、働く場所や社員の様子を視覚的に伝えられるプログラムです。執務スペースだけでなく、会議室や休憩スペース、製造現場なども紹介すると、入社後のイメージを持ちやすくなります。
対面での案内が難しい場合は、オフィスツアー動画や360度映像などを用意し、オンラインで紹介する方法もあります。毎回同じルートを社員が案内する必要がなくなるため、開催工数の削減にもつながります。

5.クイズを使った業界・企業理解

一方的な会社説明にならないよう、クイズや投票を取り入れる方法もあります。
例えば、「この事業の売上はどこから生まれている?」「この製品はどのような場所で使われている?」といった問いを出し、回答後に事業内容を解説します。
オンライン開催でも、チャットや投票機能を利用すれば実施できます。学生が回答する場面を設けることで、短時間でも参加感を生み出しやすくなります。

まとめ:オープン・カンパニーは早期接点の要。学生目線で設計し、より良い採用活動に繋げていきましょう

オープン・カンパニーは、2022年6月の三省合意改正で整理された、就業体験を伴わない早期接点の施策です。
「取得した学生情報を採用活動に使えない」などの制約もありますが、企業の実施率・学生の参加率もともに高く、すでに主要な学生接点の一つになっています。

これから就職活動を本格的に始める前の学生の目線に立ってプログラムを設計することで、企業と学生双方にとって有意義な取り組みになるでしょう。

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